妊娠中に気をつけたい感染症

妊娠中には、いろいろな感染症の検査を行います。検査結果で感染症が指摘された方は、その感染症に合わせた対応を、必要なタイミングで医師が指示します。ただ、検査時は感染症の指摘がなくても、その後も出産までは感染症に罹患しないよう注意することが必要です。例えば、性行為による感染を防ぐために、妊娠中の性行為の際は必ずコンドームの使用をお願いいたします。
今回は、『検査はしないものの妊娠中に気をつけて欲しい感染症とその予防法』についてお話します。

近年の感染症代表 コロナウイルス

2023年5月から感染症法上での位置づけが5類感染症となり、外出制限・屋内でのマスクの着用・感染者の把握などコロナへの対策は大きく変化し、個人の判断に委ねられる部分も多くなりました。実際のところは…感染者は5類移行後も増加傾向にあります。妊婦さんは重症化しやすいといわれており、かかってしまった場合は、妊婦さんの飲める解熱剤などを内服して対応することになります。

まずはしっかり予防!

予防の基本は マスク・手洗い・ワクチン接種

お買い物に行ってマスクはされていますか?できれば人込みは避けていただきたいです。帰ってきてからの手洗いは継続できていますでしょうか?今までに何回ワクチン接種していますか?もし1回もしていない…という方がおられましたら、妊娠中でも接種可能です。受診時にご相談ください。予防対策はご主人はもちろん、同居のご家族、よくお会いする身近なご家族にも行っていただきたいと思います。

感染予防

冬だけじゃない! インフルエンザウイルス

通常は冬に流行するイメージですが、春や夏にも時折感染者がいます。予防策の基本はコロナウイルスと同じく、マスク・手洗い・ワクチン接種になります。ただし、インフルエンザワクチンの接種は通年は行っておらず、毎年10月末頃から開始になることが多いです。接種時点で妊娠34週以前であれば接種可能です。

耳慣れないけど要注意 サイトメガロウイルス

聞きなれない感染症ですね。あまり知られていないからからこそお伝えします。サイトメガロウイルスに感染すると風邪のような症状が出ます。大したことにはならず治る方も多く、成人女性の70%の方はすでに子どものころなどに感染して抗体を持っているといわれています。しかし、”妊娠中”は感染に特に注意が必要です。妊娠中にサイトメガロウイルスに感染すると胎盤や血液を通じておなかの赤ちゃんに感染してしまい、赤ちゃんが何らかの障害を持って生まれてくることがあります。障害を持つ割合は低いものの、赤ちゃんを守るためにも気をつけたい感染症の一つです。

すぐにできる予防法

サイトメガロウイルスの主な感染経路は、感染したお子さんやの唾液や尿といったものです。そのため、上のお子さんや、周囲のお子さんと接するときには、これらのことに注意してください。

● 上のお子さんの尿(おむつ)の始末や、よだれのついたおもちゃに触れるなどした後は、しっかり石鹸で手洗いをしてください

● お子さんと同じ箸やスプーンを使ったり、食べ残しを食べたりすることはやめましょう

● よだれや尿が付いてしまったものはきれいに拭き取りましょう。おもちゃや衣類などは石鹸で洗い、洗えない家具などはふき取ったあとにアルコール消毒をしてください

生肉や猫から感染する トキソプラズマ

サイトメガロウイルスより更に珍しい感染症かもしれません。妊娠中に初めて感染して、おなかの赤ちゃんに異常が出る割合も低い感染症ではありますが、感染経路は身近なところです。加熱不十分な肉類や、猫の排せつ物に寄生していることがあります。そのため、以下のことに注意して感染予防を行ってください。

● 肉類にはしっかり火を通してください
レアステーキを食べてパワーをつけて!と言いたいところですが、感染の危険があるため、肉類はしっかり火を通してから食べましょう。ローストビーフや生ハムも出産後のお楽しみにしておいてください。

● 飼いネコちゃんのトイレの処理もご家族にお願いしましょう
●野良ネコちゃんのフンが紛れている危険があるため、公園の砂場に触れたあとや、家庭菜園・ガーデニングをしたなど土に触れたあとはしっかり石鹸で手を洗ってください

● 野菜、果物もしっかり洗ってから召しあがってください

すべての基本は「手洗い」!

妊娠中は制限が多くて・・・と不安に思うこともあるかもしれませんが、感染対策はすべて手洗いが基本です。手洗いは生活の基本としていきたいですね。お母さんがきちんと手洗いをしていれば、お子さんもそれが日常的に行えるようになります。ご自身の感染を防ぐことで、ご自身だけでなく、おなかの赤ちゃん、生まれたあとの赤ちゃん、ご家族を守ることになります。習慣化していきましょう。

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